何故か涙がでてきてしまう、そんな本です。なんでだろう?と不思議に思ったけど、ネットで佐々木先生のことを読んだりしてると、この本で涙ぐんでしまうのは私だけではないようで。
『こどもへのまなざし』
本のタイトル、その通りの内容でとってもあたたかい。
難しい研究内容や論文もとても分かりやすく書かれていてすーっとはいってくる。長いですが、どんどん読み進めてしまいます。何度も読み返します。育児に悩んだとき、こういうときはどうしたらいいんだろう?というとき、ネットの情報なんかより信憑性がありそして安心感を与えられる、そんな本です。
息子の昼寝中や寝かしつけの後が私の読書タイムなのですが、読んでるとなんだかもう、寝てる息子をぎゅーっと抱き締めたい衝動にかられます(起こしたら後悔する)『子育てとはなんてかけがえのないものなんだ..!
今この時を大切にしなきゃ!家事、仕事、自分のこと、スマホ、そんなものは放っておいて1分1秒も無駄にせずこの子と向き合おう!』なんて気持ちになります。(無理だけど)私はとても単純なので、盲信する傾向にあります。もう少し早く先生のことを知れていたら講演を聞きに行きたかったな。
子供が望むことは、望む通りに答えてあげるのがいい。『抱っこ』『絵本読んで』小さい子の要求なんて簡単なこと。思い切り手をかけてあげられること。
大きくなってからの教育、高校大学などは、いくらでもやり直しがきくのだ
と書かれています。それが、乳幼児期の子育てがとても大切と言われている理由ですね。
本を読むとき、特に参考になる部分に付箋を貼るのですがこの本は付箋だらけで。その中でも特に、特に参考になる、というかこれを心にとめて、毎日忘れないようにしたい、という部分を記録のために少しだけ残したいと思います。下記引用している箇所があります。
著書の中で一番強調され何度も繰り返し書かれているのが、過保護について
これだけは間違いないというのが、子供を過保護にしてダメにした例というのは絶対にないということ。
理想的な育児があるとしたらそれは、子供が望んだことを望んだとおりに全てかなえてあげること。
『泣けば何でもしてもらえる、と、子供の依頼心を強くしてしまう、自立をしそこなう』という反対意見もあるようですが、それらを一蹴するような内容です。実験や研究結果をもとに何度も先生が言っていることで、本当にこの本の中で繰り返し繰り返し出てきます。それほど、重要な事なのだろうと思います。
例に出されている実験では、
夜中に泣いても様子を見る、泣かせる、数日で泣かなくなり夜通し寝る子になった、というもの。そういう子が物分かりの良い忍耐強い子供になったのか、というとそうではなはむしろ困難に対して早くギブアップする子になった、困難を克服するための努力をすぐ放棄する子供に成長していった、ということ。
更にもっと重要なことは、泣いても放っておくと泣き止む子は、周囲の人や世界に対する漠然とした、しかし根深い不信感と自分に対する無力感のような感情をもたらしてしまうとのこと。それとは反対に、泣くことで要求を表現し、周囲の人によって満たされるという事を体験し続けた赤ちゃんは、周囲の人や世界に対する信頼と自分に対する基本的な自信の感情がはぐくまれる。今話題の自己肯定感ですね。小さいうちにどれだけ満たしてあげられるか。親や保育者がどれほど許容できるかが重要なのだと、書かれています。
手のかからない子がいい子なのか?
手のかからない子、かけさせない子がいい子かというと、それは間違いである。ただその時親にとって育てやすい子であったというだけでその他の事は何も意味していない。いくら泣いても親が気が付かなかったり面倒がったりすると子供は泣いて訴えなくなる。忍耐強く我慢強い子になったわけではなく、泣いたって叫んだって駄目なんだという母に対するある種の不信感と自分自身に対する無力感をもって聞き分けが良くなっているだけでそれは順調な成長ではない。
親に手をかけさせる子は、親や保育者が愛情をかけてやる機会が多いことで心も順調に成長し、長い目で見れば本当は育てやすい子なのだと先生は言います。
見ていてあげること
見たこともないものに出会ったとき、どうしたらよいかわからない状況に出くわしたとき、子供は動きを止めて必ず振り返る。そんな時に、子供をみていてあげてほしい。それを期待して、信じて子供は振り返るのだ。そういう時に自分を見ていてくれる人が誰もいないという経験を重ねて育つと、人間的な感情の重要な部分の育ち方が大きく違ってしまう。
私は普段から息子の前ではスマホを触らないようにしていますが、夫は息子といるときも隙あらばスマホを見ています。キッチンから観察していても、息子が振り返ったことにも気付いてもいない、ということが頻繁にあります。色々してくれる夫ですが、これだけはなかなか気を付けてほしいところです、、とほほ。
見ていてあげる、という点でもうひとつ、
大人からすると、いたずらにしか見えない行動に価値や意義を見出すことは難しいけど、子供達にとっては何度も何度も繰り返しやり続けることに意味がある。どれだけそれをさせてあげられるか、で子供に独創的な想像力や自発性をどれくらい育てられるのか、のカギになる。
ようなので、ゆったりとした気持ちで見守りたいです、、
しつけについて
しつけは新しい事を知り、身に付けることができ、大人の仲間入りができるようになるという点で、こどもたちにとっては嫌なことというよりむしろ最大の喜びである。子供は誰もが向上心を持っていて、放っておいても本来皆しっかりしようとする。抱っこやおんぶをしすぎたから歩かない子になったということは無い。どんなことにも頑張りたいと思っている。親や周囲の人の賞賛を得て喜びたいと思っている。なので安心して頑張れる気持ちや環境を作ってあげることが大切。
我が家もやんわりトイトレを始めようかと思ったり思わなかったり。スムーズに進めるため時期を待とうかと考えたり。『ここでおしっこをするんだよ』と何度も繰り返し伝え教えながら、『上手にここでできるようになるのはいつか、楽しみに待ってるね。その時期は自分で決めなさい、自分で決めればいいからね』という気持ちでサポートしようと思います。
待つという姿勢が出来ればもうそれだけで人を育てる名人になれる。
私も、『このお母さんすごいなぁ。尊敬するなぁ。こんなお母さんになりたいなぁ。』と思うのは、スーパー主婦でもなく、教育ママでもなく、ゆったりと待ってあげられるお母さんだなぁと思います。
ひそかに最善を尽くしてじっと待つ。待つことに楽しみや喜びを感じられるようなお母さん。色んな発達や成長は育児書に書いてあるより少しゆっくりめでいい、というぐらいの気持ちで。そんなお母さんに育てられた子供は幸せだろうなぁ。
この言葉は特に刺さりました。
最後に
本の中にもありますが、大人は我慢が苦手になっていると思います。イライラもしやすい。そんなママは多い、というか、皆そうだと思います。貧しくて何もかも不自由だった昔は、育児が思い通りにいかないことぐらいで親はイライラしなかったそうです。今は多くの事が自由になって子供がちょっと思い通りにならないと腹を立てたり途方にくれたり。
私自身、自分が産まれた頃から日常生活で我慢を強いられることはほとんどなく、それが人間の欲求、欲望、衝動を我慢できない性格に育て上げたんですよね。
人間の欲求が増し、景気が刺激され、経済が豊かになり文明が向上する。それが良いことなのかどうか。豊かで自由で平和な国はそれと引き換えに、人間にとって一番大切な、人と一緒にくつろぐ、安らげるという事を失っていっている。その結果人を信頼してゆったりとした気持ちで育っていける環境が失われている。こんな中で、昔の心をもったままゆったりとした育児は難しいなぁと感じます。
時代は変わったんだから育児のあり方も進化するのは当たり前、と夫は言いますが、何か変わらない、根本的な事がこの本には書かれているような気がします。
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